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開発途上国と一般特恵関税制度
https://togaku.repo.nii.ac.jp/records/443
https://togaku.repo.nii.ac.jp/records/4435d282cda-06a6-46a0-8eeb-4494b2831571
Item type | 紀要論文 / Departmental Bulletin Paper(1) | |||||||||||
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公開日 | 2019-12-25 | |||||||||||
タイトル | ||||||||||||
タイトル | 開発途上国と一般特恵関税制度 | |||||||||||
言語 | ja | |||||||||||
タイトル | ||||||||||||
タイトル | Developing Countries and Japan's Generalized System of Preferences (GSP) | |||||||||||
言語 | en | |||||||||||
言語 | ||||||||||||
言語 | jpn | |||||||||||
資源タイプ | ||||||||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_6501 | |||||||||||
資源タイプ | departmental bulletin paper | |||||||||||
アクセス権 | ||||||||||||
アクセス権 | metadata only access | |||||||||||
著者 |
田中, 厚彦
× 田中, 厚彦
× Tanaka, Atsuhiko
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抄録 | ||||||||||||
内容記述タイプ | Abstract | |||||||||||
内容記述 | 本論は,わが国が開発途上国に対して実施している一般特恵関税制度(GSP)について,その現状を把握し,将来の進むべき方向を認識した上で,あるべき姿を模索し,政策的な提言をしようと試みたものである。 第1章においては,GATTにおける多角的貿易交渉によって,特に先進国において,関税が引き下げられてきている状況を述べた。1994年に終了したウルグアイ・ラウンド交渉による関税の引き下げの結果,わが国の鉱工業品の関税率は1.5%になることが予想されるが,ほかの先進国の関税率も同様にかなりの低水準になるので,個別の高い関税率の産品については別として,一般的には鉱工業品の貿易に対し関税の存在がさしたる障壁とはなっていない,と思われる。 農産物については,東京ラウンド及びウルグアイ・ラウンド交渉の結果,市場アクセスの改善が大いに進んだ。輸入数量制限や可変輸入課徴金のような関税以外の国境措置は原則として関税化が行なわれ,また関税率も全品目の単純平均で36%と大幅に削減された。この結果,わが国においてはコメについて極くわずかではあるが市場を開放し,また全ての輸入数量制限品目を関税化することになった。 わが国の鉱工業産品及び農水産品を合わせての関税負担率は3.3%(1993年度)と世界の先進国のうちでも最低の水準にあり,ウルグアイ・ラウンド交渉の結果この負担率はさらに低下するであろうから,一般的に言って今後は関税負担率を引き下げる余地はほとんどなくなっている,と思われる。 第2章においては,まずGSPの誕生の経緯を述べ,その後わが国におけるGSPの仕組みと運用状況を考察した。 GSPは,平等・無差別を原則とするGATTの精神と相容れないために,国連貿易開発会議(UNCTAD)において合意されたものであるが,GATTにおいても例外的なものとして認められている。GSPの目的は先進国が開発途上国に対し,特恵関税を供与することによって開発途上国の経済を発展させ,南北問題の解決のための一手段としようとするものである。GSPは先進国から開発途上国に対し一方的に与える恩典であるので,どの国を特恵関税の受益国とするかは,専ら特恵供与国の自由裁量によっている。 わが国が実施しているGSPにおいて,特恵関税の対象品目は鉱工業産品と農水産品とに区分けされている。 鉱工業産品については,原則として全品目が特恵関税の対象となり,特恵関税率は無税であるが,例外として引下げ率が50%の品目(SP品目)がある。また原則として各品目とも数量制限がなく,エスケープ・クローズ方式が採用されている。ただし,例外としてシーリング方式で運用されている品目もかなり多く残っており,これに該当する品目については特恵輸入数量がシーリング枠に到達すると特恵の適用が停止する。なお,各受益国に関してシーリング枠の4分の1で特恵輸入量が制限される頭打ち措置がある。 農水産品についてはポジテイブ・リストに掲げられた品目のみが特恵供与の対象となっている。数量の制限はなく,エスケープ方式で運用されている。 その他の措置として, 1 後発開発途上国(LLDC)に対しては,特別に優遇的な条件で特恵関税が与えられている。 2 ASEAN諸国に対しては,累積原産地制度が適用されている。 3 国別品目別に特恵適用の例外措置がある。 次に,わが国のGSPの最近の運用状況をみると, 1 わが国の全世界からの総輸入額に占める特恵受益国からの輸入額の割合が漸増している。 2 全世界からの総輸入額に対する特恵受益国からの特恵対象物品輸入額及び特恵適用額の割合がともに漸増傾向にあり,GSPを有効に利用しての輸入が増加している。 3 特恵適用率について,例えば1993年度についてみると,農水産品では88.4%と高い率を示しているが,鉱工業品では40.2%と著しく低い。 4 農水産品に関し,例えば1993年度についてみると,総輸入額が8.0%であるのに対し特恵対象物品輸入額が1.5%と低い割合である。 5 鉱工業産品のうち,特恵輸入数量にシーリング枠のある品目についていくつかの問題点があるが,それらを指摘した。 6 各特恵受益国別に特恵適用の輸入額をみると,韓国,中国,台湾からの輸入が圧倒的に多い。特に中国からの特恵適用の輸入が急伸している。その他,ASEAN5カ国の割合も多い。 第3章においては開発途上国にとって望ましいGSPとして,今後のGSPのあるべき姿を考察し,それを提言した。 GATTにおける数次のラウンド交渉によって譲許税率は引き下げられ,そのために特恵関税のメリットは漸減してきている。理論的には将来譲許税率がゼロに近づけば特恵関税は機能を喪失する運命にある。従って,GSPを現状のまま維持していたのでは,特恵関税のメリットはどんどん目減りしていくので,このメリットをいかに多くの開発途上国に配分するかが課題となる。その方策として, 1 現在の特恵受益国のなかから卒業国がでてきてもよいのではないか,との観点からわが国のGSPにおいて,特定の国を特恵受益国として指定する場合,またこの指定を解除する場合の法令の規定の内容を米国及びEUにおける場合との比較において検討した。 2 特恵対象産品については, (a) 鉱工業産品のうち特に繊維,木材,雑貨等の軽工業品について,特恵輸入のための門戸拡大策を検討した。 (b) 農水産品については,ポジテイブ・リストに登載する特恵対象品目の拡大策を検討した。特に熱帯産品の有望性につき言及した。 最後に,GSPの今後の展望として,特恵関税のメリットはそれを真に必要とする国に与えるべきである,との理念を徹底すべきこと,そのためには現在のGSPを新たなる構想の下に再構築すべきことを提唱した。具体的には,特恵受益国としてはLLDC等を中心に考えて,中進国についてはその対象から除外してはどうかということである。 |
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書誌情報 |
東洋学園大学紀要 Bulletin of Toyo Gakuen University 巻 4, p. 71-91, 発行日 1996-03-15 |
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出版者 | ||||||||||||
出版者 | 東洋学園大学 | |||||||||||
言語 | ja | |||||||||||
ISSN | ||||||||||||
収録物識別子タイプ | ISSN | |||||||||||
収録物識別子 | 09196110 | |||||||||||
書誌レコードID | ||||||||||||
収録物識別子タイプ | NCID | |||||||||||
収録物識別子 | AN10421432 | |||||||||||
論文ID(NAID) | ||||||||||||
関連タイプ | isIdenticalTo | |||||||||||
識別子タイプ | NAID | |||||||||||
関連識別子 | 110000988608 | |||||||||||
著者版フラグ | ||||||||||||
出版タイプ | VoR |